北京オリンピックのメイン会場となったスタジアム『鳥の巣』の正面にそびえる、7ツ星ホテル『Pangu Plaza Hotel』。料亭『花伝美濃吉』は、その最上階にお店をかまえています。『花伝美濃吉』は、江戸享保年間に開業、以来290年あまりの歴史を持つ京懐石料亭『美濃吉』の海外支店第一号店です。
『美濃吉』といえば日本国内で15支店、更に30店あまりのデパ地下店を展開中。高級料亭として、また食卓グルメとして、一般家庭にもなじみのある由緒正しい超一流の料亭です。
美濃吉が中国出店となったいきさつを教えてください

北京店『花伝美濃吉』の店長高本治明氏によると「海外出店は100年前からの夢であったと聞いております」とのこと。出店を決断させた4つのポイントについてお話をうかがいました。
中国パートナーとのコンセプトの一致
「コストは度外視して、“日本をそのまま北京に持ってきてほしい”というPangu Plaza Hotelオーナー(中国側のパートナー)の意見と、“正しい日本料理と文化を中国の方に伝えたい”という『美濃吉』の希望が一致したこと、これが出店を実現させるきっかけとなりました。」
中国顧客の考え方を知るためのサテライト店として
「本店『美濃吉』のある京都には、現在多くの中国人観光客が訪れます。おかげさまで『美濃吉』にも多くの中国人のお客様にお越しいただくようになりました。北京支店には“中国の方にどのようなおもてなしをすれば良いのか”“どうすればより京都の文化を知っていただけるか”を知るための、サテライト店としての役割を期待しました。これは、かつて東京への出店が、東京からのお客様の考え方を知る大きなきっかけとなった経験を踏まえてのことです。先日、京都本店を李長春共産党中央政治局常務委員の訪問団にご利用いただきましたが、その際も慌てることなく、十分なおもてなしができたと思います。北京店の機能をうまく働かせることができたと思います。」
「本物の日本食を世界に伝える」という使命感
「弊社の現社長は日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)設立の中心メンバーであり、また、日本フードサービス協会副会長兼国際交流委員長を務めております。それに加え、美濃吉は300人を超える日本食専門の調理師を抱えており、正しい日本食を世界に伝えるための素地が十分に整っています。海外出店は「美濃吉」の使命であると自負しています。」
魅力的な巨大マーケット
「そして、もちろん、中国は巨大なマーケットであり、富裕層の数も非常に多いということも主要因です。」
日本より高い価格設定!平均単価4000元へのコダワリ
平均単価をお聞きしてしてびっくり。昼は1800元/人、夜は3000元/人のコースからとなっており、平均単価は4000元程度とのこと。
日本より高い価格設定になっている理由をお聞きすると
「日本そのままを感じていただく、をコンセプトとしている店ですので、使用している四季折々の器をすべて日本から持ってきました。また、鮮魚を中心とする素材もそのほとんどが日本から空輸で運ばれてきたものです。出汁をとったり、米を炊く水まで日本から輸入したものを使用しています。
調理場にも現在6名のスタッフがいますが、30年以上の経験を持つ調理師支配人、15年の経験を持つ調理長を筆頭に全員が日本人です。接客係もすべて日本人。このこだわりが、自然と価格設定を押し上げたということになります。
日本とまったく同じものを海外で再現するのですから、日本よりも価格が高くなるのは仕方がないことだと考えております。逆に、この価格でないと日本と同じ京懐石の味を中国で再現することはできないのではないでしょうか。
さらに、店内設計も国技館を設計された今里隆先生にお願いしております。北京店はただ単に値段を高くして高級感を出しているわけではありません。日本の歴史と文化が、料理・部屋・器に凝縮され、日本文化の真髄を堪能することができる、それこそが高級店の価値である、と考えております。この意味において、弊店では本物の高級感を出すことができていると自負しております。」
お客様はほぼ100%中国人
中国に出店している日本料理店というと、食べ放題150元とか、顧客の大半は日本人と思いがちですが、美濃吉の利用客はほぼ100%中国人。
需要としては、7割程度がやはり接待。
その中でも、北京在住の利用客は、話題性から来店する人が多いように感じるとのこと。一方、何度も足を運ぶリピーターには香港からの顧客が多いそうです。
「お客様のプライベートについては存じ上げないのですが、それでも、プライベートジェットでわざわざお越しくださる方や、送迎で防弾ガラスつきの車が来られる方、また、誰もが知るグローバル企業のCEOのご自宅にお弁当をお届けにあがったこともあります。もちろん、ブラック色に輝くクレジットカードも見慣れました。」
100年来の夢を実現した『美濃吉』。今後の海外戦略は?
「接待需要がないと厳しい、という理由から、現在の価格設定での中国他地域への展開は厳しいと考えています。しかし、香港にはビジネスチャンスがあると思います。広東料理と日本料理は味の親和性が高いですし、香港は世界でも有数の経済都市ですから、ビジネス需要も見込めると思います。」
中国以外への海外展開も検討中です。北京店と同様の形式を採用した高級料亭としての横展開はあり得ると考えています。また、日本で美濃吉が採用しているような、“高級店としてのブランドを生かした大衆店”という縦展開も選択肢として十分ありえますね。でも、まだ北京店がようやく一周年を迎えたところですので・・・今はこれからに向けての助走期間ですね。」
ありがとうございました!
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