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【2008年12月18日】
<第7回目>世界初のネットでの自己カウンセリングツール




現在ネットのポータルサイトでは無料で手軽に日記を公開する事が大流行である。ネットの公開日記はポータルサイトで有名な「楽天」のみならず色々なサイトで取り込まれておりブームの様相をしめしている。私は Mixi (ミクシィ)という日記サイトが非常に良くできていると思う。 

ネット上であれ、従来の日記帳であれ、日記を書く事自体が自分の不安定な気持ちを整理して客観視するきっかけをつくる大きな効用がある。

ところで、このほど、便利な機能が備わったウツを予防するためのネット上の日記ソフトが世界に先駆けて日本で登場した。これは、「メンタフ・ダイアリー」という無料の公開サイトで誰でもネットを通じて入手ができるし利用料金もかからない。インターネットで実際にアクセスしてみたい読者の為にURLを以下の通り記載する。http://www.mtop.co.jp

この「メンタフ・ダイアリー」には、自分にふりかかった悩みをネット上に記載し、後になってそのときの感情を第三者的に振り返ることができる自己カウンセリングの機能が搭載されている。さらに加えてオプション機能を使えばこの日記をネット上で公開することもできる。ネット上の色々な人がこの自分の悩みをつづった日記に感想やアドバイス、個人の経験談などを書き込む事ができるような仕組みになっているのである。


「メンタフ・ダイアリー」の利用ステップ


もう少し具体的にステップを説明してみよう。まずネット上で無料登録をすませると、自分専用の日記サイトが組成される。ストレスとなる出来事がある場合、その日付、タイトルを記入する。ここまでは普通のネット上の日記と同じである。そしてフォーマットに従って、悩みのジャンル、相手、状況、と書き進めていき、その時どんな気分がしたか、そしてその気分の強さを選択肢の中から選んでいく。

次にここからがメンタフ・ダイアリー独自の構成となるのだが、自分自身の考え方を客観的に見ていくステップに入る。別の自分になったつもりでそれを書いた時の自分の考え方を見直していくのだ。 「自分はあの時そんな風にとらえていたのか」、「あの時は気がつかなかったけど、あの一言に過敏に反応しちゃったんだな~」などなど、自分の囚われに気づかされていく。さらにインターネットで公開することができるようになっているため、多くのメンタフダイアリーユーザー(メタフレンド)が、あなたの悩みについて様々のコメントをくれたり、自分ひとりでは気がつかなかった考え方の方向性を指摘してくれたりで、これらが解決の糸口になる場合もある。

これらのネット上の公開日記にはIDを教えている知人や友人だけではなく、匿名の人、通りすがりのような人たちからのコメントも書き込まれていく。将来的には「メンタフ・ダイアリー」に書かれる悩みに対し、プロのカウンセラーのアドバイスが受けられるようなコーナーも有料ではあるが将来計画されている。心ない誹謗中傷など問題のある書き込みは事前に管理者によりネットにはアップされないので安心だ。

   
このネット上のメンタフ・ダイアリーは悩める人にはワンポイントの悩み解決の有効なツールとなっているが、実は継続すればうつ病の予防にもなるのである。

うつの状態になると、自分や、世の中や、将来に対して悲観的な見方を始めるようになる。そして極端に白黒をつけたがる二分割思考、些細な事でも針小棒大に想像してしまう傾向などが出てくる。これらの特徴を指摘したり時にはいさめたりするコメントをもらうことで自己の思考の偏りに気づく機会が生まれる。このようにメンタフ・ダイアリーをネットで公開すると、くせになってしまっている自分の悪い思考パターンが認識され訂正されて思考の柔軟性がとりもどされてくるのである。また公開された他人のメンタフ・ダイアリーを覗くことにより、その人はどんなふうに対処しているか、他人の思考パターンを知ることができ、自分の悩み解決の為の参考とすることができるのである。

ネット上でのアドバイスの場合には相手の顔が見えない分遠慮が無く、客観的にズバリとものが言いやすい。面と向かっている友人にはどうしても甘くなりがちだし、相談する側も直面する悩みのすべてを包み隠さず打ち明けるのには勇気が必要だ。それに、実際そんな相談をされても適切なアドバイスができる友人の数はそう多くはない。かえってネット上の他人の方がずばりと問題の盲点をついてきたり、的確なコメントを提供できたりする。ネットが素晴らしいのはこれらのアドバイスがほとんど無料で実現できてしまう点だ。善意に基づいた無料のセルフ・コーチングの仕組みとも言えるのである。 

このようにメンタフ・ダイアリーは「認知療法」のカウンセリングの考え方を応用している。どんな人でも考え方、物事の捉え方には癖があるもので、その癖のせいで損をしたり、不快になったり、気分が落ち込んだり、場にそぐわない行動をしてしまいあとで後悔するなどの結果が起きるのだ。認知療法ではまず自分の考え方の癖に気づき、客観的には他の考え方もあることに目を向け、考え方や捉え方の選択肢を増やすトレーニングを継続的に実行するのだ。その思考訓練により、あなたはいつも陥ってしまう嫌なパターンから抜け出すことができる。認知療法は、ストレスの少ない毎日を送れるように自分自身で考え方を変えていく便利なツールであるわけだ。

ネットではこれらの日記だけではなく掲示板も同様な役割をしている。現在ネット上ではストレスやメンタルヘルスに悩む人たちが特定のいくつかの掲示板を通じてコメントを交換しながら悩みや問題の解決に向けてエールを交換しあっている。私もいくつかのメンタルヘルス関連の掲示板に匿名のニックネームで参加している。

深刻なメンタルヘルスの問題を抱えた人たちの掲示板も多数存在している。それらの書き込みの大方は役に立つ内容となっている。しかし中には自殺願望者が集まり自殺の方法論について生々しい情報も交換するような危険な掲示板もあるし、精神医学の素人が抗うつ剤について医者並みの細かいコメントを書き込んだりしている危なっかしい掲示板もある。医者やカウンセラーの誹謗中傷やら、薬が効いた、効かないの議論も盛んである。このように情報が氾濫する中ではネットユーザーが自分自身でしっかり判断をしてサイトを取捨選択して行かなくてはならないのである。

ネットの情報交換も必要だが、うつ病は医師の指導による薬物療法が基本なのは他の病気と全く同じである。うつ病にも保険が効くのを知らない人が多い。うつ病に対する不安は思い切って医師を訪ねて相談することをお勧めしたい。



→第8回のご案内(2009/1月上旬UP予定)
テーマ:駐在員をめぐる「目に見えない」リスクと進出企業本社
by 株式会社MD.ネット 佐野 秀典

時代がすでに変わっているにも関わらず、社員のメンタルヘルスをいまだに「個人の問題」に帰するものだと考えている企業が少なくない。こうした考え方が、経営全体に影響するほどの損失をもたらしていることに気づいていない企業が多いのである。たしかに、企業では「見えないリスク」よりも「見えるリスク」への対処が優先されるのがつねだ。そしてその「見えないリスク」のなかでも海外駐在員を含む従業員のメンタルヘルスへの対応はさらに後回しにされがちで、世界的に名の通った大企業の中にさえ、長期療養者をおざなりにしていたり、もてあましたりしているところがあるというのが現実だ。


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【 連載予定のタイトル 】

<初回>09/17UP
対談①《組織の海外進出:過渡期の中国とメンタルヘルス》


<第2回>
対談②《海外赴任者のストレス耐性:陥りやすい傾向》


<第3回>
対談③《海外赴任者のストレス耐性:柔軟性の重要さ》


<第4回>
《ストレスの種類と正体をつかむ》


<第5回>
《ストレスからくる「うつ」の症状と対処法》


<第6回>
《閉じられた世界と「心」の3つの状態》


<第7回>
《ネットで自己カウンセリングができるサイト:メンタフダイアリー》


<第8回>
《駐在員をめぐる「目に見えない」リスクと進出企業本社》


<第9回>
《中国駐在員のストレス:文字通り「冗談ではない」事例》


<第10回>
《専門医による渡航前コーチングとは》


<第11回>
《メンタルタフネスが人生を切り拓く》


NEXT!
<第12回>3/26UP予定
《スピード社会のメンタルタフネス》






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