日本初の月面着陸、JAXAの「SLIM」が最終準備へ…「ピンポイント着陸」の成功に期待

日本初の月面着陸、JAXAの「SLIM」が最終準備へ…「ピンポイント着陸」の成功に期待

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は15日、月面探査機「SLIM」が高度を下げ、20日未明の着陸に向けて最終準備に入ったことを発表しました。このプロジェクトは、独自技術である「ピンポイント着陸」や傾斜地でも安全に降り立てる技術を駆使しており、これにより誤差が100メートル以内に収まる見通しです。

SLIMは現在、月の上空約600キロメートルを飛行中で、今後は高度を約15キロメートルまで降下する予定です。20日午前0時頃には減速を始め、クレーター周辺に20分後に着陸予定です。

このミッションの成功には「画像照合航法」が鍵を握っています。この技術は、飛行中に撮影された月面の画像を使用して軌道を自動修正し、目的地への精密な着陸を可能にします。鎌田弘之教授らによって開発されたこの技術は、クレーターの位置を画像から抽出し、月面地図データと照合して現在の位置を推定します。

20分間の着陸に向けた飛行中、SLIMは数回の撮影で目的地までの軌道を自動修正します。目的地上空に到着すると、障害物のない安全な場所に向けて垂直に降下します。この一発勝負の精密着陸に挑む鎌田教授は、「開発した技術がいよいよ試される」と緊張の表情を見せています。

また、SLIMは着陸の瞬間にも独自技術を使用します。傾斜地でもバランスを保ちながら着陸するため、機体には5本の脚が装備されています。脚は3Dプリンターでアルミニウムを網目状のドーム形に成形され、衝撃を吸収し機体を保護する役割を果たします。鋳造会社「コイワイ」などが製作に携わり、同社は以前、2022年に失敗に終わったJAXAの探査機「オモテナシ」にも同様の衝撃吸収材を提供しています。小岩井修二専務は「次こそは月にたどり着いてほしい」と成功を期待しています。

長谷川賢